平成29年度 茨城県養護教諭会第2回研修会 報告

<期日> 平成29年8月7日(月)
<会場> つくば国際会議場

1 開会行事

○主催者あいさつ

茨城県養護教諭会長

今年は養護教諭会の創設70周年にあたり,現在その70周年の歩みをまとめています。養護教諭の歴史には大変な苦労があって,今の私たちがあるということをしみじみと感じています。このような立派な場所で3回も研修ができることを当たり前だと思うのではなく,研修ができることをありがたく思い,先輩の先生方やまわりの方々に感謝しなくてはと思います。
第2回研修会は夏休み中の開催ですので,例年,多くの方にご参加いただいております。各学校では1人または2人ですが,この会場には県内各地から各校種の方が,同じ養護教諭の仲間として集まっています。大いに情報交換をしていただいて,プラスアルファの研修にしていきましょう。
学校保健ポータルサイトを活用されていますか。ポータルサイトにも学校保健に関する最新情報が載っています。健康診断マニュアルの映像解説版もアップされていました。映像をみるためのパスワードは7月に発行された会誌「学校保健」に載っています。項目毎に5分程度の短い映像ですので,健康診断の方法を確認するのに便利かと思います。
本日の研修は,運動器検診と摂食障害についてです。今日の研修からもたくさんのエネルギーをもらっていただければ幸いです。


茨城県学校保健会長

学校保健会では,尿・心臓病検診結果検討委員会,肥満対策委員会,ほう賞選考委員会,全国健康づくり推進学校推薦委員会等の委員会を設けております。合わせて約30名の養護教諭の皆様に委員として携わっていただいており,感謝申し上げます。
また,生活習慣病予防対策及び肥満調査の要項配付が遅れましたことお詫びいたします。
本日は,昨年度,茨城県医師会により実施されましたアンケート調査に基づいて作成された,運動器検診についての啓発資料について説明があります。一日充実した研修となりますよう祈念いたします。


○来賓あいさつ

茨城県教育庁学校教育部保健体育課長

6月に文部科学省からの冊子「現代的健康課題を抱える子供たちへの支援~養護教諭の役割を中心として~」を配付いたしました。養護教諭のほか,管理職,学級担任,学校医,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー等の役割が明記され,チーム学校としての支援の在り方についてまとめられています。ぜひ活用していただき,教育委員会や他の専門機関と情報共有を図り支援に取り組んでいただきたいと思います。
また,保健体育課では,今年度も学校保健推進訪問を実施いたします。今後とも学校保健の充実にむけてご尽力いただきますようよろしくお願いいたします。

2 講義 「運動器検診-いま学校現場で知ってほしいこと-」

茨城県医師会副会長 取手整形外科医院 院長 松﨑 信夫 先生

平成28年度に茨城県医師会により,学校医,養護教諭に対して運動器検診についてのアンケート調査が行われ,検診の実施に際して多くの課題,問題点が指摘されました。それらを踏まえて,運動器検診に関するワーキンググループが立ち上げられ,運動器検診に関する啓発資料(→茨城県学校保健会HPよりダウンロード可)が作成されました。今回はこの啓発資料について解説していただきました。保健調査票の活用方法や検診実施時の工夫例,事後措置としてのストレッチなど,大変参考になる資料です。次年度に向けて各学校でぜひ活用していただきたいと思います。
また,側湾症については,治療法や手術後の生活管理について等,具体的な事例を交えながら詳しく説明していただきました。側湾症の早期発見と早期受診について,学校検診が果たす役割の大きさを改めて実感しました。

3 諸連絡

茨城県教育庁学校教育部保健体育課 権田 多美子先生

学校等欠席者・感染症情報システムへのご協力に感謝申し上げます。麻疹・風疹・結核・O-157を含む腸管出血性大腸菌感染症については,入力と共に教育委員会への電話連絡をお願いします。また,給食等,学校での食中毒は疑いの段階で一報入れてください。
よい歯の表彰基準が変わりました。前年度のデータなど漏れがないようにしてください。

4 調査報告

茨城県養護教諭会第2回研修会に係る事前アンケート調査結果報告

会員の皆様にご協力いただき,平成29年6月に実施したアンケート調査について報告がありま
した。

5 実践発表

「摂食障害の疑いのある児童生徒に対する養護教諭のフィジカルアセスメント」

茨城県立水戸第一高等学校 養護教諭 海老澤 恭子 先生

摂食障害の早期発見に必要なフィジカルアセスメントの内容は,養護教諭でなければ気づくことができないことも多く,その一つ一つに大きな意味があるということを再認識することができました。また,児童生徒本人への対応だけでなく,保護者,担任,医療機関等との連携においてもデリケートな部分を多く含んでいて,対応の難しさを改めて感じました。

6 講演 「摂食障害の理解と対応について」

筑波大学附属病院精神神経科 医師 塚田 恵鯉子 先生
医師 兒玉 貴久子 先生

摂食障害の分類やその特徴等について詳しく説明がありました。保健室での対応について,本人や保護者への受診のすすめ方,治療中の生徒の対応で気をつけること等は校種別に,あるいは色々なケースを想定して具体的に例示していただき,大変参考になりました。摂食障害に限らず, 児童生徒の変化に気づいてあげられるような,普段からの関わりが大切であると感じました。
筑波大学附属病院での入院加療の流れや,具体的な症例も紹介いていただき,医療の現場と学校の距離が縮まったように感じました。摂食障害の専門外来が開設されるというお話しも伺うことができ,今後も様々な形で連携していくことができればと感じました。

 

*長時間の研修お疲れ様でした。研修会の感想や反省点などは各地区の理事さんにお伝えください。
*今後とも会員の皆様のご協力をよろしくお願いいたします。